東京の下町、墨田区向島の魅力的な街を紹介しています。昔から徐々に変化していく中での知っていただきたい向島があります。

日本最古の植物園

  • HOME »
  • 日本最古の植物園


  

  • 小石川植物園では、300円の入場券を入口向いの煙草屋で買わねばならないが(そこでしか売っていない)中に入ったら、まず100円でパンフレットを買いたい。
    正式名「東京大学理学部附属植物園」の概要と圏内の見所が書かれ、ていねいな地図が載っている。
    早春、春、初夏、夏の各季節ごとに「花だより」(200円)も出されている。
    この辺りは、小石川の名の通り川が流れていた。通称、千川。昭和9年頃になるまでは、のどかな田園風景が広がっていた。坂が多いのは、低地と台地の二段の地形だからなのだ。江戸以前は、このひな壇型の地に、氷川神社と白山神社があったが、綱吉が五代将軍になる前、ここを別邸とした。白山御殿である。
    綱吉が江戸城に入った後、貞享元年に幕府の薬園となり、薬草の栽培・研究がなされるとともに、将軍家に観賞用樹木を献上した。日本最古の植物園であり、世界でも有数の歴史を持つ日本の植物学発祥の地。いうならば、植物園の元祖である。
    そうした歴史を思いつつ、まずは正面の堂々としたスロープをのぼる。台地の上の本館前を過ぎると、彼方の林までまっすぐに道が伸びている。
    左側には桜の林があるが、もし平日ならば、この辺りでごろりと横になって午睡をきめこむのもよい。
    「・・・・禁止」などという無粋な立て札もないし、なにより鳥のさえずりが爽やかだ。昼寝のあとは、少し歩こう。
    青木昆陽の甘藷(サツマイモ)試作跡の碑は必見。紫がかった石碑は、サツマイモそっくり。いったいこんな石を誰が捜しだしてきたのだろうと、妙に感心するはずだ。
    その西側、松林の中には、いわゆる『赤ひげ物語』の舞台になった小石川養生所の井戸がある。
    養生所は、八代将軍吉宗の享保の改革の一環だった貧困者の施療所である。
    ここから、さらに奥に歩く。しだいに、雑木林になり、小道もくねって迷子になりかねない。そこで必要になるのが、入口で買っておいた100円のパンフレットである。
    小道の分岐点に立つ小さな杭の数字と地図を照合すれば、どこにいるかがわかる。
    地図を見ながら、目標を決めればよい。シマサルスベリの並木を抜けてスギ・ヒノキ林まで足を伸ばしてもよし、ウメ林から池におりてもよい。
    いずれにしても、本郷から移築された美しい明治建築である旧東京医学校本館を望む日本庭園で、鳩とたわむれながら、一休みとなる。
    庭園からは、低地に沿ってハンノキ並木、メタセコイア林を抜けて一直線に入口に戻る。まだ、散歩は始まったばかりだ。